デジタルが世界を変える:Mary Meekerのトレンドレポート2014 Webマーケティング Tweet 今年もでました!Mary Meekerのインターネットトレンドレポート。 Mary MeekerはシリコンバレーにあるベンチャーキャピタルKPCBのパートナーであり、元 IT/テクノロジー分野のアナリストです。 彼女がアナリスト時代から毎年出し続けてきたこのインターネットトレンドのレポートは、今や、デジタルマーケターのバイブルと言われるまでになった必読の資料です。 オリジナルは164ページもある大作ですが、まとめて要点をご紹介します。 インターネットの成長が減速 もちろんインターネットは引き続き成長中。とはいえ、その成長率はゆるやかに減速しつつあります。 右の図にある通り、現在の成長率は10%を切っています。 グローバルのネット人口ランキングでいうと、中国・USA・インドについで4位に位置する日本は、2013年のネット人口成長率0%(スライド原本p.155)と突出して低く、この成長鈍化の一因を担っています。 スマホが成長を牽引 一方、インターネット人口が10%以下と成長の鈍化を見せる中でも、スマホユーザーの成長率は20%以上です。 そしてモバイルデータのトラフィックはなんと81%以上(!)の成長率で増幅し続けています。 その成長を引っ張っているのが、アジアとアフリカ。まさに途上国で、どんどんスマホが普及を伸ばしているのです。 スマホはメインスクリーンとなりつつある 「あなたは昨日、TV、PC、スマホ、タブレットのそれぞれを何時間みましたか?」という質問に対する答えがこちらです。 結果、30カ国中22カ国でスマホが最も長時間見られているという結論だったそうです。 もちろん、日本でもスマホの視聴が最も多い結果となっています。 セカンドスクリーンのディスカッションでは通常、ファーストスクリーンであるTVに対して追加で視聴するデバイスとして、スマホやタブレットをセカンドスクリーンと言いますが、今やファーストスクリーンはスマホだと言えるでしょう。 大きな伸びしろはモバイル広告 こちらは、3年連続、Mary Meekerのレポートに登場している有名なスライド。 プリント・ラジオ・TV・インターネット・モバイルのそれぞれを消費者が視聴する時間の割合と、それぞれのメディアが得る広告費の割合を比較しています。 これを見ると、プリント媒体は実際に視聴されるよりも多くの広告費を得ており、逆にモバイル広告は長時間視聴されているにも関わらずそれに見合っただけの広告が投下されていないのです。ここには、まだまだマーケットの伸びるチャンスがあると解釈できます。 ソーシャルメディアからメッセージングアプリへ ここ数年で起きている大きな流れとして、Lineなどのメッセージングアプリの急成長があります。 不特定多数に対する幅広いコミュニケーションから、より少数に向けてプライベートで密度の濃いコミュニケーションをとるメッセージングアプリへとシフトが起こっているのです。 2月にFacebookが買収したWhat’s Upも中国のWeChatも、月間アクティブユーザー数が年率100%を超える成長ということ(スライド原本p.36)すごい勢いですね! ソーシャルメディアを活用したバイラルメディアが台頭 バズフィード、ハフィントンポスト、ABCニュースなど、ソーシャルメディアを活用したバイラルメディアが、続々と成功をおさめています。 特に、バズフィードはこの1年でユニークビジターを3倍に増やす急成長を遂げたとのこと。 その50%以上がモバイルから、75%以上がソーシャルメディアから、また読者の50%以上が18-34歳ということです。まさに時代の流れにのった新しいメディアだと言えるでしょう。 先日、リークされ話題になっていたニューヨークタイムズのレポートでも、まさにこれらのメディアの存在が脅威として語られていました。紙媒体を中心として成り立ってきた既存の巨大メディアが今後、これらのバイラルメディアにどう対応していくのか、目が離せません。 ストリーミングサービスが音楽業界を変える 音楽業界にも変化が起こっています。 今までも下降曲線をたどっていたCD売上げが引き続きマイナス13%成長というのはともかくとして、iTuneストアなどに代表されるデジタル音楽の売上げが初めてマイナス成長となりました。(とはいえ、iTuneは売上げ好調のようで、その他のTargetやWalmartの売上げ低下が全体のマイナス成長を引っ張っているようです。) この原因は、SpotifyやPandoraなどに代表されるストリーミングサービスへとユーザーが流れているからだと言われています。 日本でもサービス開始が近いと言われているSpotify、同じような流れを日本でも起こすことになるのでしょうか。 ビットコインの台頭 2013年4月にビットコインの価格が高騰し一躍USでバズり、 2014年2月のマウントゴックスで一躍、一般への認知が広まったビットコインですが、実際、その口座数もうなぎ上りに増加しています。この1年で10倍(!)にもなっていますね。 日本にもこの5月中に西麻布に日本初のビットコインのATMが設置される予定という話がありましたが、 今後、日本でどのようになっていくのか、要注目です。 まとめ 元々、私はP&GでSK-IIのマーケティングをしていましたが、少し外の世界に目をやると、今や人はオンラインで友達を作り、オンラインで情報収集をし、オンラインでものを買う時代となっていました。 そして、これからはクラウドソーシングで働き方が変わり、3Dプリンターで生産が変わり、ウェアラブルで日常生活が変わっていくでしょう。 当時、デジタルによる世界の変化を理解せずに、人の生活にインパクトを与えられるようなマーケターになれることはないと感じ、今までいた世界を飛び出してきたのですが、あの時の考えは正しかったと、毎年、このMary Meekerのトレンドレポートを見るたびに再認識します。 世界はデジタルにより、目まぐるしく変わりつつあります。 同じような危機感と好奇心をお持ちの方には、ぜひ以下のオリジナルレポートを見て頂ければと思います! KPCB Internet trends 2014 from Kleiner Perkins Caufield & Byers 参考資料:KPCB Internet Trends 2014 Tweet Author: Kazuyo Nakatani 中谷和世 Kazuyo Nakatani: 音楽大学声楽科卒業後、留学斡旋企業の営業/マーケティングを担当。その後、USへ渡り2007年にミシガン大学MBA取得。2007年〜2012年P&GにてSK-IIのマーケティングに従事する。うち3年はシンガポールに駐在。現在は東京在住、オンライン動画配信ビジネスのMarketing Directorを勤める。 Prev Blog Next 2014年5月29日
デジタルが世界を変える:Mary Meekerのトレンドレポート2014
今年もでました!Mary Meekerのインターネットトレンドレポート。
Mary MeekerはシリコンバレーにあるベンチャーキャピタルKPCBのパートナーであり、元 IT/テクノロジー分野のアナリストです。
彼女がアナリスト時代から毎年出し続けてきたこのインターネットトレンドのレポートは、今や、デジタルマーケターのバイブルと言われるまでになった必読の資料です。
オリジナルは164ページもある大作ですが、まとめて要点をご紹介します。
インターネットの成長が減速
もちろんインターネットは引き続き成長中。とはいえ、その成長率はゆるやかに減速しつつあります。
右の図にある通り、現在の成長率は10%を切っています。
グローバルのネット人口ランキングでいうと、中国・USA・インドについで4位に位置する日本は、2013年のネット人口成長率0%(スライド原本p.155)と突出して低く、この成長鈍化の一因を担っています。
スマホが成長を牽引
一方、インターネット人口が10%以下と成長の鈍化を見せる中でも、スマホユーザーの成長率は20%以上です。
そしてモバイルデータのトラフィックはなんと81%以上(!)の成長率で増幅し続けています。
その成長を引っ張っているのが、アジアとアフリカ。まさに途上国で、どんどんスマホが普及を伸ばしているのです。
スマホはメインスクリーンとなりつつある
「あなたは昨日、TV、PC、スマホ、タブレットのそれぞれを何時間みましたか?」という質問に対する答えがこちらです。
結果、30カ国中22カ国でスマホが最も長時間見られているという結論だったそうです。
もちろん、日本でもスマホの視聴が最も多い結果となっています。
セカンドスクリーンのディスカッションでは通常、ファーストスクリーンであるTVに対して追加で視聴するデバイスとして、スマホやタブレットをセカンドスクリーンと言いますが、今やファーストスクリーンはスマホだと言えるでしょう。
大きな伸びしろはモバイル広告
こちらは、3年連続、Mary Meekerのレポートに登場している有名なスライド。
プリント・ラジオ・TV・インターネット・モバイルのそれぞれを消費者が視聴する時間の割合と、それぞれのメディアが得る広告費の割合を比較しています。
これを見ると、プリント媒体は実際に視聴されるよりも多くの広告費を得ており、逆にモバイル広告は長時間視聴されているにも関わらずそれに見合っただけの広告が投下されていないのです。ここには、まだまだマーケットの伸びるチャンスがあると解釈できます。
ソーシャルメディアからメッセージングアプリへ
ここ数年で起きている大きな流れとして、Lineなどのメッセージングアプリの急成長があります。
不特定多数に対する幅広いコミュニケーションから、より少数に向けてプライベートで密度の濃いコミュニケーションをとるメッセージングアプリへとシフトが起こっているのです。
2月にFacebookが買収したWhat’s Upも中国のWeChatも、月間アクティブユーザー数が年率100%を超える成長ということ(スライド原本p.36)すごい勢いですね!
ソーシャルメディアを活用したバイラルメディアが台頭
バズフィード、ハフィントンポスト、ABCニュースなど、ソーシャルメディアを活用したバイラルメディアが、続々と成功をおさめています。
特に、バズフィードはこの1年でユニークビジターを3倍に増やす急成長を遂げたとのこと。
その50%以上がモバイルから、75%以上がソーシャルメディアから、また読者の50%以上が18-34歳ということです。まさに時代の流れにのった新しいメディアだと言えるでしょう。
先日、リークされ話題になっていたニューヨークタイムズのレポートでも、まさにこれらのメディアの存在が脅威として語られていました。紙媒体を中心として成り立ってきた既存の巨大メディアが今後、これらのバイラルメディアにどう対応していくのか、目が離せません。
ストリーミングサービスが音楽業界を変える
音楽業界にも変化が起こっています。
今までも下降曲線をたどっていたCD売上げが引き続きマイナス13%成長というのはともかくとして、iTuneストアなどに代表されるデジタル音楽の売上げが初めてマイナス成長となりました。(とはいえ、iTuneは売上げ好調のようで、その他のTargetやWalmartの売上げ低下が全体のマイナス成長を引っ張っているようです。)
この原因は、SpotifyやPandoraなどに代表されるストリーミングサービスへとユーザーが流れているからだと言われています。
日本でもサービス開始が近いと言われているSpotify、同じような流れを日本でも起こすことになるのでしょうか。
ビットコインの台頭
2013年4月にビットコインの価格が高騰し一躍USでバズり、 2014年2月のマウントゴックスで一躍、一般への認知が広まったビットコインですが、実際、その口座数もうなぎ上りに増加しています。この1年で10倍(!)にもなっていますね。
日本にもこの5月中に西麻布に日本初のビットコインのATMが設置される予定という話がありましたが、 今後、日本でどのようになっていくのか、要注目です。
まとめ
元々、私はP&GでSK-IIのマーケティングをしていましたが、少し外の世界に目をやると、今や人はオンラインで友達を作り、オンラインで情報収集をし、オンラインでものを買う時代となっていました。
そして、これからはクラウドソーシングで働き方が変わり、3Dプリンターで生産が変わり、ウェアラブルで日常生活が変わっていくでしょう。
当時、デジタルによる世界の変化を理解せずに、人の生活にインパクトを与えられるようなマーケターになれることはないと感じ、今までいた世界を飛び出してきたのですが、あの時の考えは正しかったと、毎年、このMary Meekerのトレンドレポートを見るたびに再認識します。
世界はデジタルにより、目まぐるしく変わりつつあります。
同じような危機感と好奇心をお持ちの方には、ぜひ以下のオリジナルレポートを見て頂ければと思います!
KPCB Internet trends 2014 from Kleiner Perkins Caufield & Byers
参考資料:KPCB Internet Trends 2014