彼がスピーチの中で繰り返し言っていたのは「人々の生活を変えなければテクノロジーに意味はない」ということ。上記のようなテクノロジーによって、いろいろなことが可能になる世の中に今私たちは生きていますが、何よりも人々の生活を幸せにしないと意味がないということでしょう。「こんなテクノロジーを開発しました。すごいでしょ?」ではなく、「このテクノロジーにより、こんな生活が可能になります。こんな風に人が幸せになります」ということが何よりも意識されるべきなのだと思います。そのために重要なのは「マーケティングとは人を知ること」であり、会社単位で仕事をするのではなく世の中の大きなトレンドを捉えるために、「人々の言葉に耳を傾けること」だとおっしゃっていました。こんなに有名なスピーカーでも、締めくくりのアドバイスは 「Be a life long student(人生ずっと学び続けるべき)」。その謙虚さが心に響きました。
テクノロジーにより、”つながる”世界へ。
5月20-23日に沖縄で開催された iMedia Brand Summitに参加してきました。このサミットは、参加者は全て招待制で先進的事例などを元に会社や業界の垣根なくディスカッションする場です。とても充実した3日間で、たくさんの刺激的なセッションやディスカッションがありましたが、中でも印象に残ったことをまとめます。
Shelly Palmer氏のキーノートスピーチ:「つながった世界へ」
Shelly Palmer氏はFOXのTV番組「Shelly Palmerデジタル生活」の主催者であり、メディア・エンターテイメント・テクノロジー分野での第一人者です。スピーチは”Connected World(つながった世界)”という言葉で題された、昨今のイノベーションがどのように「つながった」世界を作るかというテーマでした。 実際、最先端のイノベーションが今どのように私たちの生活を変えつつあるのかを、サービスや製品の事例を交えつつ具体的に語ってくれました。 スピーチの中に登場した、イノベーション例の一部をご紹介します。
GEのミルクコンテーナー: ミルクが腐っていたらわかるセンサーが付いているコンテーナー。中身のphバランス(酸性かアルカリ性か)を計るチップが内蔵されているらしいのですが、そういうものが日常生活の中で使えるほど安く生産できるようになったということですね。この他にも電気やセキュリティを自宅から離れていてもコントロールでき、家族が帰宅したら鍵を開けられるとか、今や生活の中にテクノロジーが自然と入り込んできています。
ProgressiveのSnapshot:安全な運転をする人には自動車保険のディスカウントを提供するというもの。右のようなSnapshotというデバイスを車に設置し、1ヶ月間の運転を記録、その結果によりそれぞれの契約者に応じたディスカウントが与えられるのです。そもそも運転をあまりしない人、安全な時間帯に運転する人、安全運転をするドライバーは、より安く契約でき、ドライバー・保険会社共にwin-winな契約を結べるというわけです。
Bonobos.com:こちらは男性アパレルのブランドですが、実店舗はあえてショールーミング化し試着用のサンプルが全サイズ一つずつ置いてあるのみ。店舗では販売せずに、購入はその場でオンラインでという仕組みです。この方法だと、在庫管理をする必要もなく、消費者も荷物を持って帰る必要がないのです。(その日に持ち帰るワクワク感はなくなりますが。)ショールーミング化により実店舗でものが売れないという昨今、むしろこの方法で、人件費や在庫管理費を減らすというのもありではないでしょうか。
Glasses.com:メガネを購入する際、似合うかどうかを確かめるため、カメラで撮影した顔を3Dビジュアルにし、2000以上ものメガネをバーチャルで合わせることができるというもの。このシステム、EC や特に靴などのサイズが重要なものに応用するといいですね。
この他にも、今注目のWearable Computerの話も盛りだくさんでした。JawboneやNike Fuelなどの運動系デバイスはもとより、GPS機能の付いているGoogle Glassによってスーパーへ行くと棚から広告が現れる未来図や、ヘルスケアにおいても、例えば薬の飲み忘れを知らせてくれるセンサーや血液検査の結果をリアルタイムにヘルスケア専門家に送ることができたりと、医療面での利便性も今後増してくるだろうと語られました。最近は3Dプリンターによって簡単にコピー製品ができるようになり、今後生産側の市場は大きく変化するだろうことが予測されます。
ひとつひとつの事例はテクノロジーのニュースを追っていれば自ずと耳に入ってくるケースでしょうが、ここで重要なのは、このようなイノベーションが一気にやってきており、私たちの生活を大きく変えつつあるということ。この流れを実感した上で、その先にやってくる次世代の「生活を変えるテクノロジー」は何かを先読みすべきなのだと思います。
彼がスピーチの中で繰り返し言っていたのは「人々の生活を変えなければテクノロジーに意味はない」ということ。上記のようなテクノロジーによって、いろいろなことが可能になる世の中に今私たちは生きていますが、何よりも人々の生活を幸せにしないと意味がないということでしょう。「こんなテクノロジーを開発しました。すごいでしょ?」ではなく、「このテクノロジーにより、こんな生活が可能になります。こんな風に人が幸せになります」ということが何よりも意識されるべきなのだと思います。そのために重要なのは「マーケティングとは人を知ること」であり、会社単位で仕事をするのではなく世の中の大きなトレンドを捉えるために、「人々の言葉に耳を傾けること」だとおっしゃっていました。こんなに有名なスピーカーでも、締めくくりのアドバイスは 「Be a life long student(人生ずっと学び続けるべき)」。その謙虚さが心に響きました。