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世界を変えるウェアラブル・コンピューターの最新事例


 

Jawbone UPやグーグルグラスをきっかけに日本にもトレンドの波がやってきた感のあるWearable Computer。これからの時代を切り開いていくこの業界の最新事例をご紹介しましょう。

急速に成長するWearable Computer業界

デバイスを常時身につけることでライフログなどのデータを取るWearable Computerは今や急激に成長している業界です。IMSリサーチによると、なんと毎年53.7%の成長率で拡大し、2016年には6000億円もの市場規模に達することが予測されています。このWearable Computer業界の中でも、フィットネス用機器や医療機器のセグメントに並び、特に突出して成長率が高いのが、“Infotainment(情報を保持するといった意味)”と呼ばれるスマートウォッチなどのセグメントです。Jawbone UPもこのうちの一つで、トレンドにのって急成長することも自然の流れでしょう。実際にJawboneは、つい先日4月30日に次なるイノベーションを求め、ヘルス系ガジェットに強く87もの特許を保持するBodyMediaを110億円で買収し、この業界でのリーダーシップポジションを強めています。

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実は、2010年5月の時点で既にMarc Andreessen(Andreessen Horowitzのベンチャーキャピタリスト)がスタンフォード大学での講演の中で、注目している業界として家電、特にデバイスにソフトウェアを融合させることにより付加価値を高めているスタートアップの動きが面白いと語っています。その例として、まさにこのJawboneの名を挙げていたのです。その頃からJawboneはWearable Computerを通して、ソフトウェアへとデータを送り分析するという未来型ガジェット開発の先駆者としてシリコンバレーで注目を集めていたのです。

次々と生まれる近未来的ガジェット

最近、Jawbone以外にもこのWearable Computer業界では次々とイノベーションが起こっています。その中でも面白いものとして、以下の4点ををご紹介します。

リアルタイムで心拍数を記録するサイクリングヘルメット “SMART”20130226020912-Rider

軽量ヘルメットの中に埋め込まれているチップがあなたの心拍数、血流、そして走行速度を正しく捉えスマホ、スポーツウォッチ、PCなどにデータを送ってくれます。つまり、このヘルメットをつけて走るだけで、瞬時にコンディションを把握したり、ペース配分を調整したりといったことが、感覚値ではなく高い精度で可能になるのです。

水泳選手が次世代の記録を塗り替えるためのゴーグルガジェット “INSTABEAT”

20130325105306-Screen_Shot_2013-03-25_at_4.39.41_PMこちらは水泳選手のためのデバイス。30gと軽量になっており、ゴーグルに装着したときに水の摩擦を起こさないような形状にデザインされています。心拍数、呼吸ペース、カロリー、ラップとターンの秒数などが記録されるのですが、中でも心拍数はゴーグルレンズの色でリアルタイムに選手自身が見えるよう表示されます。他のデータはPCに送られ過去の記録と比較することができるという設計です。

光で着信を知らせるブレスレット  “EMBRACE+”

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メール、Facebook投稿、Twitterなどが届くと、いろいろなカラーバリエーションで光って知らせてくれるブレスレット。特に健康改善のためという訳ではありませんが、そのオシャレさが目を引くのは間違いなさそうです。現在、大量生産に向けてクラウドファンディングで資金を集めているようですが、集まった総額によっては更なる機能が付くこともあり得そうです。

脳波測定で集中力を測るヘッドセット “MINDWAVE MOBILE”

MWM_AppsヘッドフォンのようにこのMindwave Mobileを頭に設置し脳波(アルファ波・ベータ波等)と目の瞬きを測ることで、集中力とリラックス度を記録することができます。また、この集中力・リラックス度の値を利用しプレイできるゲーム、脳のトレーニング、教育系の付属アプリを楽しむことができます。用意されているアプリの数はなんと100以上。測定される脳波の精度も医療研究に使われているものと比較して96%の精度ということで、なかなか本格的です。

これからのWearable Computer

これからの時代、あらゆるものがソフトウェアにつながっていくことでしょう。今までは単なる道具だったものが、ソフトウェアによって記録やより深い分析が可能になり、そしてソーシャルメディアを使ってそれを周囲にシェアすることが可能になります。GPS機能、友人との情報交換や応援機能、記録からの未来予測機能、などその可能性は無限大です。スポーツ選手はデバイスを賢く使ってどんどん記録を塗り替え、医療やリハビリなども通院の頻度を落としてもデバイスを通じて続けられ、普段の生活でも気軽に生活改善への気付きが得られる、そんな時代になりつつありますね!

参考:

  • http://imsresearch.com/press-release/Wearable_Technology_Market_to_Exceed_6_Billion_by_2016
  • http://life-beam.com/portfolio/cycling-helmet/
  • http://www.indiegogo.com/projects/instabeat/
  • http://www.kickstarter.com/projects/embraceplus/embrace-a-smart-piece-of-wearable-technology/
  • http://www.neurosky.com/Products/MindWaveMobile.aspx/

Author: Kazuyo Nakatani 中谷和世 Kazuyo Nakatani: 音楽大学声楽科卒業後、留学斡旋企業の営業/マーケティングを担当。その後、USへ渡り2007年にミシガン大学MBA取得。2007年〜2012年P&GにてSK-IIのマーケティングに従事する。うち3年はシンガポールに駐在。現在は東京在住、オンライン動画配信ビジネスのMarketing Directorを勤める。