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世界はデジタルに浸食される:Mary Meekerのトレンドレポート2013


 

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Mary Meeker氏:元ウォールストリートの証券アナリストで、モバイル系を含むIT分野の第一人者

Mary Meekerのインターネットトレンドレポートの2013年バージョンが発表になりました。これは毎年この時期に出るデジタルマーケター必読の有名レポートで、USでは多くのサイトが取り上げています。先日のiMedia Brand Summitで講演をしてくださったShelly Palmer氏が著書の中で「世界はあなたが思うよりも早く動いている」と書かれていましたが、まさにこのレポートを見るとそれを実感します。以下は完全に個人的主観による重要ポイントのまとめです。

MaryMeeker_p28日本人はシェアしない

見てください、この右の方に小さくダントツ最下位に位置する日本のポジションを。これは「オンラインで全て、もしくはほとんどシェアする」と答えた人の%です。シェアすることが必ずしもいいことと決めつける気はないのですが、時代の流れとともにシェアすることに抵抗感がなくなってくるのは否めないので、そういう意味では日本はまだまだ世界のデジタル化による「つながる」利便性を享受しきっていない気がします。 ランキングの高い国々をみても、比較的国民性としては内向的と思われている国や、インターネット環境がまだまだ充実していない国も高い数値を出していたりもするので、それらにも増して日本人がシェアすることに抵抗感があるというのは意外な、かつ興味深い事実です。

MaryMeeker_p32モバイルの加速

昨年のレポートでもモバイルの急激な浸透は明らかにされていましたが、更に加速する流れがわかります。それに応じてモバイル広告の市場が拡大しつつあり、今後のビジネスチャンスとなるだろうことが示されています。各メディア媒体の中で比較するとモバイルが最も消費者の利用時間の割に広告費が少ないということで、その差はまさに今後の成長になることでしょう。実際、Facebookはデスクトップ広告の落ち込みをモバイル広告でカバーし始めていることも示されています。

MaryMeeker_p45タブレットの急成長

日本でのタブレット浸透率は未だ11.3%(2013年2月、ビデオリサーチインターラクティブ調べ)でPCやスマホに比べまだまだ伸び悩んでいますが、世界ではPCの出荷台数を超えたという恐るべき成長を示しています。タブレットが世に出てから3年という短期間でここまでくるとは驚きですね。51%がAppleとのことでiPadが大半を牽引しているようです。カジュアルに使用する目的でPCを購入していた層がタブレットに移行しているのが見て取れます。

MaryMeeker_p94デジタル時代による変化:郵便事業の落ち込み

衝撃を受けたのは、ひそかにAppendixに入っていたこの1枚。郵便事業がデジタル化による影響を受け大きく落ち込んでいる様です。昨年もネット広告が新聞広告を抜かしたグラフを見てショックを受けましたが、まさにこのパラダイムシフトが今の時代に起こっていることなのです。新聞が消え、郵送物が消え、本屋・旅行代理店・CDショップが街から消えてゆくのです。そして3Dプリンターが普及すれば、更に店だけでなく物流や規制も変化する。そんな時代に私たちは生きているのです。

転職のきっかけのひとつになったほどの衝撃

昨年、このレポートを見た時の衝撃は忘れられません。USで新聞の広告予算をインターネット広告予算が抜いたという一枚を見た時、まさに今この瞬間に従来のマーケティングでは通用しない世の中に変わりつつあるということを実感し、全てがデジタル化されていく時代に乗ってマーケティングをしていかなくてはと感じました。世界が変わろうとしている中、私もその渦の中で変化を当事者として体験し、牽引していきたいと思ったのです。半分はワクワク感、半分はこんなことをしていてはダメだという焦り、そんな複雑な心境でデジタルの世界への転身を決めました。今回のレポートを読んで、まさに1年ぶりにその想いを再確認することとなりました。

激変の時代におけるマーケティング

世の中には2種類の人がいます。レポートの裏にある真実を読み解き未来を見据えることができる人とそうでない人。マーケターたるもの、前者であって欲しいものです。117ページものこのレポートには、ここにまとめきれないほどの学びががたくさん詰まっており、これからの時代を予測するヒントになります。モバルとタブレットが急激に浸透し、次世代のWearable Computerが出始め、中国のインターネット化が進み、デジタル化により消えゆく産業がでる・・・。その中で私たちはどのような価値を提供し、どんな次世代を創造することができるのでしょうか?マーケティングが担うこの大きな課題のために、ぜひ以下のオリジナルレポートを役立ててください。

参考資料:KPCB Internet Trends 2013 : http://www.kpcb.com/insights/2013-internet-trends
ビデオリサーチインターラクティブ:http://www.videoi.co.jp/release/20130221.html

Author: Kazuyo Nakatani 中谷和世 Kazuyo Nakatani: 音楽大学声楽科卒業後、留学斡旋企業の営業/マーケティングを担当。その後、USへ渡り2007年にミシガン大学MBA取得。2007年〜2012年P&GにてSK-IIのマーケティングに従事する。うち3年はシンガポールに駐在。現在は東京在住、オンライン動画配信ビジネスのMarketing Directorを勤める。