DeNA南場流リーダーシップは「多様なメンバーを高揚感でまとめる」 セミナー&カンファレンス Tweet 前回に引き続き、7月2日に実施されたグローバル・ウーマン・リーダーズ・サミットのレポート第2弾です。第1弾では、Facebook COO シェリルサンドバーグ氏の講演を要約し、シェリルの考える女性が真に輝ける社会にするために重要な3つことについてご紹介しました。今回は、シェリルに続き講演をされたDeNA創業者の南場智子氏の話をご紹介します。 南場さん自身スピーチの中で「今日はアウェイな気分」と表現したとおり、彼女はシェリルの主張とは異なり「女性の権利」にはさほどこだわっていないようです。彼女はそれよりも、女性とか男性とかを超えた意味での多様なメンバーからなる組織をどう引っ張っていくかということに対して経験からくる信念を語ってくれました。 参考リンク:Facebook COO シェリル・サンドバーグの説く3つの「すべきこと」 (ここから南場さんの話をかついまんで要約します。) 男女の違いよりも大きな違いは、仕事ができるかできないか 男性だから女性だからということよりも大きな違いは仕事ができるかできないか。男性も女性も性別に関係なく、育児などのライフイベントはサポートしたいと思っています。ただ、男女の割合が半々にならなければいけないという風には思いません。数字が一人歩きするのは危険で、男女比のゴールを目指して採用した結果の数字には何の意味もないのです。ましてや、女性を増やすためにといった理由で採用されるのも優遇されるのも、本気で真剣に頑張っている女性に失礼な話。女性だからという理由ではなく、人は実力で採用されるべきであり、人事というのは徹底的に曇りなく行われるものでないといけないと思うのです。 モチベーションの源泉の異なるメンバーを束ねることはとても難しい ダイバーシティという意味においては、男女の違いだけでなく、国籍・価値観・性格などもっと幅広い意味があります。チームというものは、多様なメンバーが集まっているほど強くなるもの。似たような人間の集まりはまとめやすいけれど、変化に弱い。企業のトップとしては、異質な人材を集めるほどパワフルですが、まとめるという意味では確実に難易度があがります。特にモチベーションの源泉の違うメンバーを束ねていくというのは中でも難易度が高いことだと感じました。 高揚感で会社をまとめていこうと思った それまでのMBAとコンサルでの12年の経験よりも多くのことを学んだ体験があります。それがこの瞬間。(右の写真)サービスを立ち上げた瞬間の写真です。ここにいるメンバーは「人に褒められたい」「お金を10億円稼ぎたい」「ユーザーに”ありがとう”と言われたい」「技術で役に立ちたい」といったそれぞれが全く異なるモチベーションを持っているチームです。それが、サービスを立ち上げるという同じ目標を達成できたことに高揚感を持って、こんなにいい笑顔をしている。この瞬間に、重要なのは「高揚感」なんだなと思い、これで会社をまとめていこうと思いました。これで生きていこうと思いました。どんな人も自分がオーナーシップをもった仕事、かかげた目標を達成したときは、高いレベルの高揚感を感じるもの。 これを感じたくて日々仕事をしているようなものです。 人に向かわずに、”こと”に向かう どうやったらこういう瞬間をまた迎えられるのか。そのためには「人に向かわずに、”こと”に向かう」ことが重要です。 昔、コンサル時代にうまくいかなくてもう仕事を辞めようと思っていた矢先にお世話になったパートナーから説得されてやることになったプロジェクトがありました。それまでは成果がでなくて、凝り固まって、嫌になっていたのに、もう辞めると思って肩の力を抜いたらとてもうまくいったんです。自分のバリューとか、全く考えずに、ただただ仕事にだけ集中したら、とてものびのびとできて仕事が楽しかったんです。そのときに、自分に意識を向けすぎず、とにかく”こと”に向かうのが良いのだなと思ったんです。自分の評価や、仕事ができるとかできないとか、成長してるかどうかとかではなく、ただ目の前の目標に集中する。そうすることで自然と良い結果がついてくるのではないかと思います。 (スピーチ完了) 音楽でも感じた「人に向かわずに、”こと”に向かう」大切さ 私は音大時代に声楽を専攻していましたが、その経験の中でも同じように感じたことがあります。「私の声、きれいに響いているかな」「うまく歌わないと」「オーディション、合格したい」等々、自分のことばかり考えていると、力んでしまってうまく歌えなかったのです。思い出すのもおぞましい最悪のケースは「コンクール受かりたい」「先生が審査員で見てる」などと無駄なことを考えステージに立った結果、緊張のあまり歌詞が吹っ飛んでしまったこと・・・。そんな中発見したのは、表現したいメッセージに集中できたときには自然といい結果がでるということ。もちろん雑念を払うのは簡単ではありません。「伝えること」に集中できるように、共感できる歌詞の曲を選んだり、誰も知らないマニアックな曲にあえて挑戦してみたり、試行錯誤を繰り返しました。その中で、南場さんのいう「人に向かわずに、”こと”に向かう」大切さを学んだ気がします。 日々、仕事をしていると「誰より誰がすごい」とか「評価されたい」とか、エゴのぶつかり合いに遭遇することって多いですよね。もちろん、生きている限りどこにいても競争はあります。自分の存在価値の確認をしたくもなります。それは否定しませんが、本当の意味で仕事を楽しみ、いい結果を出すには、やはり鍵は「人に向かわずに、”こと”に向かう」ことだと思います。皆さんもトライしてみてください。 Tweet Author: Kazuyo Nakatani 中谷和世 Kazuyo Nakatani: 音楽大学声楽科卒業後、留学斡旋企業の営業/マーケティングを担当。その後、USへ渡り2007年にミシガン大学MBA取得。2007年〜2012年P&GにてSK-IIのマーケティングに従事する。うち3年はシンガポールに駐在。現在は東京在住、オンライン動画配信ビジネスのMarketing Directorを勤める。 Prev Blog Next 2013年7月9日
DeNA南場流リーダーシップは「多様なメンバーを高揚感でまとめる」
前回に引き続き、7月2日に実施されたグローバル・ウーマン・リーダーズ・サミットのレポート第2弾です。第1弾では、Facebook COO シェリルサンドバーグ氏の講演を要約し、シェリルの考える女性が真に輝ける社会にするために重要な3つことについてご紹介しました。今回は、シェリルに続き講演をされたDeNA創業者の南場智子氏の話をご紹介します。
南場さん自身スピーチの中で「今日はアウェイな気分」と表現したとおり、彼女はシェリルの主張とは異なり「女性の権利」にはさほどこだわっていないようです。彼女はそれよりも、女性とか男性とかを超えた意味での多様なメンバーからなる組織をどう引っ張っていくかということに対して経験からくる信念を語ってくれました。
参考リンク:Facebook COO シェリル・サンドバーグの説く3つの「すべきこと」
(ここから南場さんの話をかついまんで要約します。)
男女の違いよりも大きな違いは、仕事ができるかできないか
男性だから女性だからということよりも大きな違いは仕事ができるかできないか。男性も女性も性別に関係なく、育児などのライフイベントはサポートしたいと思っています。ただ、男女の割合が半々にならなければいけないという風には思いません。数字が一人歩きするのは危険で、男女比のゴールを目指して採用した結果の数字には何の意味もないのです。ましてや、女性を増やすためにといった理由で採用されるのも優遇されるのも、本気で真剣に頑張っている女性に失礼な話。女性だからという理由ではなく、人は実力で採用されるべきであり、人事というのは徹底的に曇りなく行われるものでないといけないと思うのです。
モチベーションの源泉の異なるメンバーを束ねることはとても難しい
ダイバーシティという意味においては、男女の違いだけでなく、国籍・価値観・性格などもっと幅広い意味があります。チームというものは、多様なメンバーが集まっているほど強くなるもの。似たような人間の集まりはまとめやすいけれど、変化に弱い。企業のトップとしては、異質な人材を集めるほどパワフルですが、まとめるという意味では確実に難易度があがります。特にモチベーションの源泉の違うメンバーを束ねていくというのは中でも難易度が高いことだと感じました。
高揚感で会社をまとめていこうと思った
それまでのMBAとコンサルでの12年の経験よりも多くのことを学んだ体験があります。それがこの瞬間。(右の写真)サービスを立ち上げた瞬間の写真です。ここにいるメンバーは「人に褒められたい」「お金を10億円稼ぎたい」「ユーザーに”ありがとう”と言われたい」「技術で役に立ちたい」といったそれぞれが全く異なるモチベーションを持っているチームです。それが、サービスを立ち上げるという同じ目標を達成できたことに高揚感を持って、こんなにいい笑顔をしている。この瞬間に、重要なのは「高揚感」なんだなと思い、これで会社をまとめていこうと思いました。これで生きていこうと思いました。どんな人も自分がオーナーシップをもった仕事、かかげた目標を達成したときは、高いレベルの高揚感を感じるもの。 これを感じたくて日々仕事をしているようなものです。
人に向かわずに、”こと”に向かう
どうやったらこういう瞬間をまた迎えられるのか。そのためには「人に向かわずに、”こと”に向かう」ことが重要です。
昔、コンサル時代にうまくいかなくてもう仕事を辞めようと思っていた矢先にお世話になったパートナーから説得されてやることになったプロジェクトがありました。それまでは成果がでなくて、凝り固まって、嫌になっていたのに、もう辞めると思って肩の力を抜いたらとてもうまくいったんです。自分のバリューとか、全く考えずに、ただただ仕事にだけ集中したら、とてものびのびとできて仕事が楽しかったんです。そのときに、自分に意識を向けすぎず、とにかく”こと”に向かうのが良いのだなと思ったんです。自分の評価や、仕事ができるとかできないとか、成長してるかどうかとかではなく、ただ目の前の目標に集中する。そうすることで自然と良い結果がついてくるのではないかと思います。
(スピーチ完了)
音楽でも感じた「人に向かわずに、”こと”に向かう」大切さ
私は音大時代に声楽を専攻していましたが、その経験の中でも同じように感じたことがあります。「私の声、きれいに響いているかな」「うまく歌わないと」「オーディション、合格したい」等々、自分のことばかり考えていると、力んでしまってうまく歌えなかったのです。思い出すのもおぞましい最悪のケースは「コンクール受かりたい」「先生が審査員で見てる」などと無駄なことを考えステージに立った結果、緊張のあまり歌詞が吹っ飛んでしまったこと・・・。そんな中発見したのは、表現したいメッセージに集中できたときには自然といい結果がでるということ。もちろん雑念を払うのは簡単ではありません。「伝えること」に集中できるように、共感できる歌詞の曲を選んだり、誰も知らないマニアックな曲にあえて挑戦してみたり、試行錯誤を繰り返しました。その中で、南場さんのいう「人に向かわずに、”こと”に向かう」大切さを学んだ気がします。
日々、仕事をしていると「誰より誰がすごい」とか「評価されたい」とか、エゴのぶつかり合いに遭遇することって多いですよね。もちろん、生きている限りどこにいても競争はあります。自分の存在価値の確認をしたくもなります。それは否定しませんが、本当の意味で仕事を楽しみ、いい結果を出すには、やはり鍵は「人に向かわずに、”こと”に向かう」ことだと思います。皆さんもトライしてみてください。