【速報】インターネットの女王Mary Meekerのレポート2015まとめ Webマーケティング Tweet 毎年恒例のMary Meekerのインターネットトレンドレポートが、今年もでました! (復習)Mary Meekerとは? Mary MeekerはシリコンバレーにあるベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)のパートナーであり、元 IT/テクノロジー分野のアナリストです。 彼女がアナリスト時代から毎年出し続けてきたこのインターネットトレンドのレポートは、今や、デジタルマーケターのバイブルと言われるまでになった必読の資料です。記念すべき初回はなんと1995年にでています! 毎年、鋭い分析でテクノロジーのもたらす変化をレポートしていますが、近年はRe/Code Conferenceに合わせて毎年5月末に発表しています。あまりメディアに顔を出さないタイプのようで、このレポートをみんな毎年心待ちにしています。 いつものMary Meekerはどこへ!? さて、197ページからなる今年バージョンを開いて・・・ 結論:正直、ちょっとがっかりしました。過去3回のように「わぉ!」なことが書かれていないのです。 去年、2014年版のために書いたこの記事の見出しが、全部そのまま使えそうなほど、内容が代り映えしません。 下記のスライドのように、グラフが交差したり、直角に下降していたり、こんなドラマティックなスライドこそがMary Meekerの持ち味だったはず。焦りを感じるほど世の中の変化を描く、いつもの切れ味鋭いレポートを期待していたのですが、残念です。 (左:2012年レポートより、モバイル広告がデスクトップ広告を抜く・中央:2013年レポートよりネット広告が新聞広告を抜く・右:2013年レポートより郵政事業の急落) モバイル広告がデスクトップ広告を抜く ネット広告が新聞広告を抜く 郵政事業の急落 とはいえ、バイブルです(笑)。すでによく知られている事実も多いですが、気を取り直してレポートを見ていきましょう。 ネット・モバイル急成長の中、成長率が鈍化 現状のトレンドを再確認するオープニング。まとめると以下です。 1995年-2015年を振り返ると、インターネットの急成長を再確認できる 中でも近年の成長を牽引しているのはモバイル 両者ともに成長率は鈍化ぎみ 縦向きスクリーン(モバイル)と横向きスクリーン(PCやTVなどそれ以外)を比較した割合ですが、USにおいては全体のメディア消費時間の伸びが停滞する中、モバイルの割合が増え続けています。 ということで、過去2年間(アップデートされながら)登場し続けている有名なスライドです。引き続きモバイル広告市場は伸びるだろうという見解で、その規模はUSだけで$250億。一方で明らかなのはプリントが投資されすぎているということ。ここはプリントへの予算がモバイルに移っていくべきなのでしょう。 テキストからビジュアル、動画へとモバイル広告のトレンドが移り、「購入」ボタンもどんどんモバイルに最適化されつつあります。Snapchatでの動画広告はその他の一般的な動画広告と比べて9倍もの視聴完了率だそうです。(レポートP.25 source: Nielsen分析) Instagram・Snapchatの成長 メッセージアプリの伸びやUGC(ユーザー・ジェネレイティッド・コンテンツ)でユーザーが第一情報発信者になるケースがどんどん増えています。中でも、目立っていたSNSがInstagramとSnapchatです。特にトレンドを作る層である10代の中で、Facebook Twitterが急速にかげりを見せ、Instagram Snapchatに人気が集まり続けているのがわかります。 店舗 vs. Eコマース 全体に占めるEコマースの割合が右肩上がりに上昇中です。どこまでいくのでしょうか、このトレンドは。店舗がなくなることはないとはいえ、ショールーミング化も課題となっている今、存在感を増すEコマースをどう活用していくのかは業種を問わず重要なトピックです。 働き方の変化 ものづくり産業が減りサービス産業が増える、単純労働よりも知識労働の量が増える、ネットにつながる人の割合が増える、等々の世の中の変化が働き方をも変えていっています。結果として、今やUS労働力の34%がフリーランスだということ。企業年金を受け取る人は減少、労働組合に属する人の割合も減少しています。 まさにテクノロジーによって生まれたこういった数々のマーケットプレイスが、もの・サービス領域ともにフリーランスでやっていくことを可能にしています。私もいくつかヘビー利用しているサービスですが、仕事の発注・受注が簡単になるというのは、世の中を変えるインパクトがありますね。 ドローンが急成長中 興味深かったのはドローン。一般ユーザー向けドローンの出荷数がグローバルではこんなに伸びているというのです。確かに最近ドローンが一般的なニュースにも登場するようになったのは肌感覚としてありますが、ここまでとは。一般ユーザー向けドローンの10倍以上の規模で軍事用ドローンマーケットがあるとの記事があるので、私たちが意識しないうちに水面下で巨大なマーケットが出来上がりつつあります。 商用利用のドローンに関しても、 Section 333 Exemptionというリスクの低いドローン利用を許可された台数が急増しています。その増加は、上のとおりグラフが直角になるほど。内訳としては、3分の1は写真・ビデオ・映画などの撮影用ということで納得。ついで、業務用の検査目的、上空からの地図関連、農業利用と続きます。 一方、ドローン規制整備という面では、KPCB分析によると日本はランキングno.4とはいえ各国に遅れをとっているという評価。20年前にYamaha R-Maxの登場とともにUAV(無人航空機)分野を牽引していたが、当時規制を整備するということをせず、この分野でのリーダーシップを失ったと厳しい評価がなされています。 Mary Meekerのすごさを実感するには、2012年・2013年バージョンが特におすすめです。決して古いとは感じないデータが豊富に載っており、まさに「世界はあなたが思うよりも早く動いている」ことを示す内容です。 【過去のMary Meeker記事もどうぞ!】 2013年:世界はデジタルに浸食される:Mary Meekerのトレンドレポート2013 2014年:デジタルが世界を変える:Mary Meekerのトレンドレポート2014 以下、2015年版オリジナルのレポートです。興味のある方はぜひご覧ください。 2015 Internet Trends Report from Kleiner Perkins Caufield & Byers Tweet Author: Kazuyo Nakatani 中谷和世 Kazuyo Nakatani: 音楽大学声楽科卒業後、留学斡旋企業の営業/マーケティングを担当。その後、USへ渡り2007年にミシガン大学MBA取得。2007年〜2012年P&GにてSK-IIのマーケティングに従事する。うち3年はシンガポールに駐在。現在は東京在住、オンライン動画配信ビジネスのMarketing Directorを勤める。 Prev Blog Next 2015年5月28日
【速報】インターネットの女王Mary Meekerのレポート2015まとめ
毎年恒例のMary Meekerのインターネットトレンドレポートが、今年もでました!
(復習)Mary Meekerとは?
Mary MeekerはシリコンバレーにあるベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)のパートナーであり、元 IT/テクノロジー分野のアナリストです。
彼女がアナリスト時代から毎年出し続けてきたこのインターネットトレンドのレポートは、今や、デジタルマーケターのバイブルと言われるまでになった必読の資料です。記念すべき初回はなんと1995年にでています!
毎年、鋭い分析でテクノロジーのもたらす変化をレポートしていますが、近年はRe/Code Conferenceに合わせて毎年5月末に発表しています。あまりメディアに顔を出さないタイプのようで、このレポートをみんな毎年心待ちにしています。
いつものMary Meekerはどこへ!?
さて、197ページからなる今年バージョンを開いて・・・
結論:正直、ちょっとがっかりしました。過去3回のように「わぉ!」なことが書かれていないのです。
去年、2014年版のために書いたこの記事の見出しが、全部そのまま使えそうなほど、内容が代り映えしません。
下記のスライドのように、グラフが交差したり、直角に下降していたり、こんなドラマティックなスライドこそがMary Meekerの持ち味だったはず。焦りを感じるほど世の中の変化を描く、いつもの切れ味鋭いレポートを期待していたのですが、残念です。
(左:2012年レポートより、モバイル広告がデスクトップ広告を抜く・中央:2013年レポートよりネット広告が新聞広告を抜く・右:2013年レポートより郵政事業の急落)
とはいえ、バイブルです(笑)。すでによく知られている事実も多いですが、気を取り直してレポートを見ていきましょう。
ネット・モバイル急成長の中、成長率が鈍化
現状のトレンドを再確認するオープニング。まとめると以下です。
縦向きスクリーン(モバイル)と横向きスクリーン(PCやTVなどそれ以外)を比較した割合ですが、USにおいては全体のメディア消費時間の伸びが停滞する中、モバイルの割合が増え続けています。
ということで、過去2年間(アップデートされながら)登場し続けている有名なスライドです。引き続きモバイル広告市場は伸びるだろうという見解で、その規模はUSだけで$250億。一方で明らかなのはプリントが投資されすぎているということ。ここはプリントへの予算がモバイルに移っていくべきなのでしょう。
テキストからビジュアル、動画へとモバイル広告のトレンドが移り、「購入」ボタンもどんどんモバイルに最適化されつつあります。Snapchatでの動画広告はその他の一般的な動画広告と比べて9倍もの視聴完了率だそうです。(レポートP.25 source: Nielsen分析)
Instagram・Snapchatの成長
メッセージアプリの伸びやUGC(ユーザー・ジェネレイティッド・コンテンツ)でユーザーが第一情報発信者になるケースがどんどん増えています。中でも、目立っていたSNSがInstagramとSnapchatです。特にトレンドを作る層である10代の中で、Facebook Twitterが急速にかげりを見せ、Instagram Snapchatに人気が集まり続けているのがわかります。
店舗 vs. Eコマース
全体に占めるEコマースの割合が右肩上がりに上昇中です。どこまでいくのでしょうか、このトレンドは。店舗がなくなることはないとはいえ、ショールーミング化も課題となっている今、存在感を増すEコマースをどう活用していくのかは業種を問わず重要なトピックです。
働き方の変化
ものづくり産業が減りサービス産業が増える、単純労働よりも知識労働の量が増える、ネットにつながる人の割合が増える、等々の世の中の変化が働き方をも変えていっています。結果として、今やUS労働力の34%がフリーランスだということ。企業年金を受け取る人は減少、労働組合に属する人の割合も減少しています。
まさにテクノロジーによって生まれたこういった数々のマーケットプレイスが、もの・サービス領域ともにフリーランスでやっていくことを可能にしています。私もいくつかヘビー利用しているサービスですが、仕事の発注・受注が簡単になるというのは、世の中を変えるインパクトがありますね。
ドローンが急成長中
興味深かったのはドローン。一般ユーザー向けドローンの出荷数がグローバルではこんなに伸びているというのです。確かに最近ドローンが一般的なニュースにも登場するようになったのは肌感覚としてありますが、ここまでとは。一般ユーザー向けドローンの10倍以上の規模で軍事用ドローンマーケットがあるとの記事があるので、私たちが意識しないうちに水面下で巨大なマーケットが出来上がりつつあります。
商用利用のドローンに関しても、 Section 333 Exemptionというリスクの低いドローン利用を許可された台数が急増しています。その増加は、上のとおりグラフが直角になるほど。内訳としては、3分の1は写真・ビデオ・映画などの撮影用ということで納得。ついで、業務用の検査目的、上空からの地図関連、農業利用と続きます。
一方、ドローン規制整備という面では、KPCB分析によると日本はランキングno.4とはいえ各国に遅れをとっているという評価。20年前にYamaha R-Maxの登場とともにUAV(無人航空機)分野を牽引していたが、当時規制を整備するということをせず、この分野でのリーダーシップを失ったと厳しい評価がなされています。
Mary Meekerのすごさを実感するには、2012年・2013年バージョンが特におすすめです。決して古いとは感じないデータが豊富に載っており、まさに「世界はあなたが思うよりも早く動いている」ことを示す内容です。
【過去のMary Meeker記事もどうぞ!】
2013年:世界はデジタルに浸食される:Mary Meekerのトレンドレポート2013
2014年:デジタルが世界を変える:Mary Meekerのトレンドレポート2014
以下、2015年版オリジナルのレポートです。興味のある方はぜひご覧ください。