5Rocksのゲーム分析手法から学ぶグロースハック術 セミナー&カンファレンス Tweet 5月15・16日の2日間、Ad Engineering Summit 2014が六本木ミッドタウンにてありました。その中で、5RocksのCEOイ・チャンス氏による「ゲームアプリの新分析手法」についてのお話がとても刺激的だったのでご紹介します。 5Rocksとは 5Rocksは、韓国・日本をメインに展開するモバイルゲーム/アプリのための、強力な分析と運営をサポートするグロースハックツールを提供しています。この4月からグローバル展開を進めているそう。 統計でなく分析を チャンス氏が一貫して伝えたかったこと、それは「統計でなく分析をすべき」「アクショナブルで意味のある数字を追え」ということでした。 つまり、ちゃんと細かくデータをみることで、ユーザーのサインを見逃ないグロースハックが可能になるというのです。「うちは数字を細かく追っています」といっているほとんどの企業では、単に統計を見ているだけ。データは細分化すればするほど、ユーザー特性がわかり意味のある施策に結びつけられると、チャンス氏は主張しています。 例えば、「今週のユーザーは何人だった。」「解約率は何%だった。」 それが重要ではないとは言いません。でも、だからどうするのですか?全体の数字だけ追っていても状況がわかるだけで、ビジネスを伸ばすアクションにはつながらない。それは分析しているとは到底言えないのでは、ということなのです。 長寿ゲーム vs. 短命ゲーム ユーザーの動きから長寿ゲームと短命ゲームを判断して、ゲームのポートフォリオを管理することが重要と言います。 例えば、1週間のうち何日ユーザーがそのゲームをプレイしているのかを、ゲームのローンチから時系列に見ます。 写真(Frequency – Good)は、ローンチ後すぐに週1ユーザー(オレンジ)の割合が急激に減っていっていることから、ユーザーのプレイ頻度が上がりロイヤルユーザーが増えていっているのがわかります。 逆に、(Frequency – Bad)では、週に1度しかプレイしないライトユーザーの割合が多いままです。ユーザーを夢中にさせる魅力がそのゲームに足りていないことは一目瞭然です。 良いゲームの目安は、左のように2週間で週7回プレイするユーザー(水色)の割合が50%を超えるということで、さらに大ヒットゲームになるとこの割合が70%を超えることもあるとのことです。 ゲームのライフステージに合わせた施策を この写真は、ゲームのレベルごとの収益を出したものです。ゲームのライフステージが進むと、この山はどんどん右によってくる、つまり高レベルからの収益がメインになってきます。 この山の場所をチェックし、ライフステージが終盤に差し掛かってくると、そのゲームのリニューアルや、新しいキャラクターの投入を決めるということでした。 単にライフステージを把握するだけでなく、ゲームが寿命を迎える前に手を打ち、その結果この山がどこまで戻るかで若返りの効果もわかるということです。 離脱リスクのレベルに応じた施策を 一人一人のユーザーが、どの程度離脱の可能性があるのかを以下のような式で導き出します。 Exit Risk = Since Last Login ÷ Login Frequency これを、それぞれのユーザーが継続している状態を0、退会した状態を1とし、このユーザーステイタスを上記の式で算出した離脱リスクとともに回帰分析にかけ、ゲームごとの離脱リスクの推移を曲線化します。(←この手法の詳細は不明。。) この曲線はより右のなめらかな状態の方が良いと解釈します。 つまり、ログイン頻度が低くても、最後のログインから時間が経っていても(=上の式の離脱リスクが高くても)、ユーザーが退会しにくいという意味だからです。 そして、それぞれのゲームの中で、離脱リスクがどの程度あるかによりユーザーを4段階に分けます。 リスクレベルの低いグループから、緑・黄・赤・黒とし、緑グループは安全なので放置、逆に黒グループは既に手遅れなので放置します。 ここで最も重要なのは黄グループ。彼らの離脱リスクが50%以上を超えないように、魅力的なアイテムをゲームの中でオファーしたり広告を出したりキャンペーンを打ちます。そして、赤グループにも同様に引き止め施策を実施します。 こうして、やみくもにリテンション施策を誰にでも行うのではなく、効き目の高いユーザーセグメントに、よりリソースを当てることで、収益の最大化ができるのです。 意味のある重要KPIをリアルタイムで追う アクションに結びつくKPIを、「手軽に」「リアルタイムで」追うことが重要とチャンス氏は主張していました。 それが、5Rocksのツールでは可能とのこと。それぞれの細かなセグメントのKPIが、ドラッグ&ドロップだけで簡単に比較でき、とても実践的です。 興味のある方は以下よりライブデモを試してみてください。(注:私はまわし者ではないので、何のインセンティブも受け取っていません。笑) 5Rocks サイト:http://www.5rocks.io/ まとめ どうでしょう。チャンス氏の話を聞き、ゲーム業界はここまでの分析をしているのかと感じました。 普段、大量のデータを手にし、現状を理解していると、ついつい分析までしたかのような錯覚にとらわれます。しかし、マーケティングで重要なのは、常に「だからどうするのか」。アクションの伴わないデータなんて、自己満足にすぎないのです。 それを常に意識して施策を練らなくてはと思いました。 Tweet Author: Kazuyo Nakatani 中谷和世 Kazuyo Nakatani: 音楽大学声楽科卒業後、留学斡旋企業の営業/マーケティングを担当。その後、USへ渡り2007年にミシガン大学MBA取得。2007年〜2012年P&GにてSK-IIのマーケティングに従事する。うち3年はシンガポールに駐在。現在は東京在住、オンライン動画配信ビジネスのMarketing Directorを勤める。 Prev Blog Next 2014年5月27日
5Rocksのゲーム分析手法から学ぶグロースハック術
5月15・16日の2日間、Ad Engineering Summit 2014が六本木ミッドタウンにてありました。その中で、5RocksのCEOイ・チャンス氏による「ゲームアプリの新分析手法」についてのお話がとても刺激的だったのでご紹介します。
5Rocksとは
5Rocksは、韓国・日本をメインに展開するモバイルゲーム/アプリのための、強力な分析と運営をサポートするグロースハックツールを提供しています。この4月からグローバル展開を進めているそう。
統計でなく分析を
チャンス氏が一貫して伝えたかったこと、それは「統計でなく分析をすべき」「アクショナブルで意味のある数字を追え」ということでした。
つまり、ちゃんと細かくデータをみることで、ユーザーのサインを見逃ないグロースハックが可能になるというのです。「うちは数字を細かく追っています」といっているほとんどの企業では、単に統計を見ているだけ。データは細分化すればするほど、ユーザー特性がわかり意味のある施策に結びつけられると、チャンス氏は主張しています。
例えば、「今週のユーザーは何人だった。」「解約率は何%だった。」
それが重要ではないとは言いません。でも、だからどうするのですか?全体の数字だけ追っていても状況がわかるだけで、ビジネスを伸ばすアクションにはつながらない。それは分析しているとは到底言えないのでは、ということなのです。
長寿ゲーム vs. 短命ゲーム
ユーザーの動きから長寿ゲームと短命ゲームを判断して、ゲームのポートフォリオを管理することが重要と言います。
例えば、1週間のうち何日ユーザーがそのゲームをプレイしているのかを、ゲームのローンチから時系列に見ます。
写真(Frequency – Good)は、ローンチ後すぐに週1ユーザー(オレンジ)の割合が急激に減っていっていることから、ユーザーのプレイ頻度が上がりロイヤルユーザーが増えていっているのがわかります。
逆に、(Frequency – Bad)では、週に1度しかプレイしないライトユーザーの割合が多いままです。ユーザーを夢中にさせる魅力がそのゲームに足りていないことは一目瞭然です。
良いゲームの目安は、左のように2週間で週7回プレイするユーザー(水色)の割合が50%を超えるということで、さらに大ヒットゲームになるとこの割合が70%を超えることもあるとのことです。
ゲームのライフステージに合わせた施策を
この写真は、ゲームのレベルごとの収益を出したものです。ゲームのライフステージが進むと、この山はどんどん右によってくる、つまり高レベルからの収益がメインになってきます。
この山の場所をチェックし、ライフステージが終盤に差し掛かってくると、そのゲームのリニューアルや、新しいキャラクターの投入を決めるということでした。
単にライフステージを把握するだけでなく、ゲームが寿命を迎える前に手を打ち、その結果この山がどこまで戻るかで若返りの効果もわかるということです。
離脱リスクのレベルに応じた施策を
一人一人のユーザーが、どの程度離脱の可能性があるのかを以下のような式で導き出します。
Exit Risk = Since Last Login ÷ Login Frequency
これを、それぞれのユーザーが継続している状態を0、退会した状態を1とし、このユーザーステイタスを上記の式で算出した離脱リスクとともに回帰分析にかけ、ゲームごとの離脱リスクの推移を曲線化します。(←この手法の詳細は不明。。)
この曲線はより右のなめらかな状態の方が良いと解釈します。
つまり、ログイン頻度が低くても、最後のログインから時間が経っていても(=上の式の離脱リスクが高くても)、ユーザーが退会しにくいという意味だからです。
そして、それぞれのゲームの中で、離脱リスクがどの程度あるかによりユーザーを4段階に分けます。
リスクレベルの低いグループから、緑・黄・赤・黒とし、緑グループは安全なので放置、逆に黒グループは既に手遅れなので放置します。
ここで最も重要なのは黄グループ。彼らの離脱リスクが50%以上を超えないように、魅力的なアイテムをゲームの中でオファーしたり広告を出したりキャンペーンを打ちます。そして、赤グループにも同様に引き止め施策を実施します。
こうして、やみくもにリテンション施策を誰にでも行うのではなく、効き目の高いユーザーセグメントに、よりリソースを当てることで、収益の最大化ができるのです。
意味のある重要KPIをリアルタイムで追う
アクションに結びつくKPIを、「手軽に」「リアルタイムで」追うことが重要とチャンス氏は主張していました。
それが、5Rocksのツールでは可能とのこと。それぞれの細かなセグメントのKPIが、ドラッグ&ドロップだけで簡単に比較でき、とても実践的です。
興味のある方は以下よりライブデモを試してみてください。(注:私はまわし者ではないので、何のインセンティブも受け取っていません。笑)
5Rocks サイト:http://www.5rocks.io/
まとめ
どうでしょう。チャンス氏の話を聞き、ゲーム業界はここまでの分析をしているのかと感じました。
普段、大量のデータを手にし、現状を理解していると、ついつい分析までしたかのような錯覚にとらわれます。しかし、マーケティングで重要なのは、常に「だからどうするのか」。アクションの伴わないデータなんて、自己満足にすぎないのです。
それを常に意識して施策を練らなくてはと思いました。