海外カンファレンスのROIを高める4つの心得 セミナー&カンファレンス Tweet 11月にアドテックNYに出るため、バケーションをとってNYに行ってきました。私に取っては海外でのカンファレンス出席は、当時住んでいたシンガポールで1年半前に出席したアドテック・シンガポール以来の2度目。 今回はカンファレンスパス+宿泊+エアチケットで合計はおおよそ30万円の出費。自腹を切る身としてはそれなりの金額なので、気合いも入ります。 ということで、私なりに海外カンファレンスの学びを最大化する方法を考えてみました。今まで、海外カンファレンスに出てきたけれどもっと効率化したい方、これから海外カンファレンスに出る予定の方、ぜひ参考にしてみてください。 1)スピーチを自分で直接聞くこと 当たり前のことですが、まずは一番前の席で耳をダンボにしてスピーチを聞くことが重要です。どんなに激しい時差ボケに苦しめられても。笑 わざわざNYまで旅し、$1,600の入場パスを買って、カンファレンスに来ている意味って何なのでしょうか?それは最先端の人たちと「1対1の」関係を築くことのできる場だからです。 今、デジタルマーケティング最先端の人はどんなふうに考えているのか、スピーカーの話す表情、ニュアンス、行間をリアルにとらえられる距離感でスピーチを聞くことに意味があるのです。何よりも「直接」自分の目で見ることで得られる肌感覚というのもがあるはずです。 営業のためにブースに人が立っている展示会場めぐりではなく、そもそものカンファレンス最大の価値が詰まっているスピーチを聞くべきです。例えタイムズスクエアを見逃しても、自由の女神に登れなくても、何があってもキーノートスピーチを聞いて帰りましょう。 2)スピーカーと話をすること スピーチを聞いて良いと思ったら、スピーカーをロックオンです(笑)。ぜひ、積極的に質問を投げかけましょう。 みんなの前で質問をする機会を逸してしまったら、スピーチ後にスピーカーに駆け寄って行っても良いのです。(私はそうしました。)そこで、直接スピーカーと話すことで得られるものが必ずあるはず。Youtubeで講演の動画を見ているのとは異なる体験がそこにあるはずなのです。 重要なのは、今後もアドバイスを求めることのできる関係を作って帰ること。単なる無味乾燥な名刺交換ではなく、質問や自己紹介で覚えてもらえるよう工夫をします。私は、動画マーケティングのスピーカーであるJeff Davis氏と話をし覚えてもらい、後ほど質問のためにメールを送りました。海外カンファレンスは、世界レベルのアドバイザーを味方につけることのできるチャンスでいっぱいなのです。 英語力が不安という気持ちもあるでしょう。でも、私は英語の問題ではないと思うのです。多くの場合、日本人は完璧な英語を話さなければいけないという脅迫観念から何も話せなくなってしまいます。でも、例えば中国人はブロークンな英語でもどんどん前のめりに話しにいきます。英語なんて通じさえすれば間違えてもいいのです。それでも気が引ける場合には、一緒に来ている英語の得意な日本人に付き添ってもらって話しに行っても良い訳です。 3)学びを自分の言葉でまとめること カンファレンスが終わったら、吸収したことを「自分の言葉で」まとめましょう。 そもそも他人の解釈には必ずバイアスがあります。他人がまとめたものを鵜呑みにするのではなく、それを飲み込む前に自分はどう思ったのかを自覚することが大切です。そのためにも、カンファレンスで印象にのこった1つか2つのセッションだけでも、忘れたくないことを自分の言葉でまとめるのです。 私は、特に印象的だったスピーチをブログにまとめ発信するように心がけています。書き進む中で、あいまいになっている部分が明確化され、それを確認するためにネットで調べたり、スピーカーに質問メールを送ったりすることで、より理解が自分のものになっていく気がします。 また、現地で復習会を主催して資料をまとめていた参加者の方もいらっしゃいました。復習会にただ参加する側と主催して資料作りをする側の学びに差がでるのは当然のことだと思います。(私も、次回は主催する側にまわらなくちゃ、と思います!) 4)事前準備をすること 仮説や知りたいことをあらかじめ持った上でカンファレンスにのぞむのはとても重要です。 「この人はこんなことを話すんじゃないか」「このバックグラウンドだったら、こんなジレンマがあったんじゃないか」そういった確認ポイントを持っているだけで理解度は全く違ってくるはずです。 しかも、Keynoteにでてくるような著名スピーカーであれば、多くの場合YoutubeやVimeoに動画が上がっていて、事前に英語の癖まで分かります。英語が理由で良く理解できなかったと言うのは、そこまで事前準備をしてからにしたいものです。 とはいえ、直前まで仕事でバタバタしていてそんな時間とれないというのはよくあること。よくわかります、実際、私もそうでした。そんなときにはクラウドソーシングでバーチャルアシスタントを雇いリサーチしてもらう手もあります。 私は今回、oDeskでインド人リサーチャーを雇って事前準備をしてもらいました。私が契約したのは$8/時間のリサーチャーでしたが、時給$2から$15くらいの価格で手となり足となってくれる人たちが世界にいるのですから、積極的に活用するべきです。 おまけ:ROIを高めるために、今回私が使ったサービス AirBnB:安く泊まりコスト削減 宿泊先のオンライン・マーケットプレイス。自分の家の空き部屋を貸し有効活用したいオーナーと旅先の滞在を探している利用者をマッチングするサービスです。マンハッタンのホテルともなると1泊2万円ほどするところ、今回のAirBnBは1泊¥8,600でした。(マンハッタンまでたった2駅のロケーションです。)しかも、オーナーとも仲良くなれて一石二鳥、楽しい滞在となりました。 oDesk:事前リサーチでラーニング最大化 450万人ものフリーランサーからなるクラウドソーシングサイト。事務的な仕事から、デザインなどのクリエイティブな仕事まで、ありとあらゆる分野の仕事を請け負ってくれます。私が主に利用するのはリサーチ目的。個人的に興味のあるトピックやカンファレンスの事前準備など、自分の寝ている間にも誰かが(安く)進めていてくれるという嬉しいサービスです。クラウドソーシングは、個人が組織としての労働力を抱えることを可能にしたという意味で、これからの時代を大きく変えていくでしょう。 まとめ どうでしょうか。やはり、日本人はまだまだ海外カンファレンスの場において、シャイで損をしてしまう傾向にあると思います。グローバルな環境で負けないためには、スピーカーに食らいついて行く積極性や、効率化に役立つクラウドソーシングなど新しいサービスの積極的な利用が鍵になります。 私もまだまだ完璧にはこれらをこなせているわけではありませんが、今回トライしたことの中で、学びを最大化するのにプラスだったと実感したことをご紹介しました。上記の4点が、海外カンファレンスで日本人が一目おかれるようになるのに少しでも役立てばと願っています。 Adtech Photo: taken by Teruhiko Miura & Adtech NY AirBnB Photo: From AirBnB oDesk Photo: From glassdoor Tweet Author: Kazuyo Nakatani 中谷和世 Kazuyo Nakatani: 音楽大学声楽科卒業後、留学斡旋企業の営業/マーケティングを担当。その後、USへ渡り2007年にミシガン大学MBA取得。2007年〜2012年P&GにてSK-IIのマーケティングに従事する。うち3年はシンガポールに駐在。現在は東京在住、オンライン動画配信ビジネスのMarketing Directorを勤める。 Prev Blog Next 2013年11月25日
海外カンファレンスのROIを高める4つの心得
11月にアドテックNYに出るため、バケーションをとってNYに行ってきました。私に取っては海外でのカンファレンス出席は、当時住んでいたシンガポールで1年半前に出席したアドテック・シンガポール以来の2度目。
今回はカンファレンスパス+宿泊+エアチケットで合計はおおよそ30万円の出費。自腹を切る身としてはそれなりの金額なので、気合いも入ります。
ということで、私なりに海外カンファレンスの学びを最大化する方法を考えてみました。今まで、海外カンファレンスに出てきたけれどもっと効率化したい方、これから海外カンファレンスに出る予定の方、ぜひ参考にしてみてください。
1)スピーチを自分で直接聞くこと
当たり前のことですが、まずは一番前の席で耳をダンボにしてスピーチを聞くことが重要です。どんなに激しい時差ボケに苦しめられても。笑
わざわざNYまで旅し、$1,600の入場パスを買って、カンファレンスに来ている意味って何なのでしょうか?それは最先端の人たちと「1対1の」関係を築くことのできる場だからです。
今、デジタルマーケティング最先端の人はどんなふうに考えているのか、スピーカーの話す表情、ニュアンス、行間をリアルにとらえられる距離感でスピーチを聞くことに意味があるのです。何よりも「直接」自分の目で見ることで得られる肌感覚というのもがあるはずです。
営業のためにブースに人が立っている展示会場めぐりではなく、そもそものカンファレンス最大の価値が詰まっているスピーチを聞くべきです。例えタイムズスクエアを見逃しても、自由の女神に登れなくても、何があってもキーノートスピーチを聞いて帰りましょう。
2)スピーカーと話をすること
スピーチを聞いて良いと思ったら、スピーカーをロックオンです(笑)。ぜひ、積極的に質問を投げかけましょう。
みんなの前で質問をする機会を逸してしまったら、スピーチ後にスピーカーに駆け寄って行っても良いのです。(私はそうしました。)そこで、直接スピーカーと話すことで得られるものが必ずあるはず。Youtubeで講演の動画を見ているのとは異なる体験がそこにあるはずなのです。
重要なのは、今後もアドバイスを求めることのできる関係を作って帰ること。単なる無味乾燥な名刺交換ではなく、質問や自己紹介で覚えてもらえるよう工夫をします。私は、動画マーケティングのスピーカーであるJeff Davis氏と話をし覚えてもらい、後ほど質問のためにメールを送りました。海外カンファレンスは、世界レベルのアドバイザーを味方につけることのできるチャンスでいっぱいなのです。
英語力が不安という気持ちもあるでしょう。でも、私は英語の問題ではないと思うのです。多くの場合、日本人は完璧な英語を話さなければいけないという脅迫観念から何も話せなくなってしまいます。でも、例えば中国人はブロークンな英語でもどんどん前のめりに話しにいきます。英語なんて通じさえすれば間違えてもいいのです。それでも気が引ける場合には、一緒に来ている英語の得意な日本人に付き添ってもらって話しに行っても良い訳です。
3)学びを自分の言葉でまとめること
カンファレンスが終わったら、吸収したことを「自分の言葉で」まとめましょう。
そもそも他人の解釈には必ずバイアスがあります。他人がまとめたものを鵜呑みにするのではなく、それを飲み込む前に自分はどう思ったのかを自覚することが大切です。そのためにも、カンファレンスで印象にのこった1つか2つのセッションだけでも、忘れたくないことを自分の言葉でまとめるのです。
私は、特に印象的だったスピーチをブログにまとめ発信するように心がけています。書き進む中で、あいまいになっている部分が明確化され、それを確認するためにネットで調べたり、スピーカーに質問メールを送ったりすることで、より理解が自分のものになっていく気がします。
また、現地で復習会を主催して資料をまとめていた参加者の方もいらっしゃいました。復習会にただ参加する側と主催して資料作りをする側の学びに差がでるのは当然のことだと思います。(私も、次回は主催する側にまわらなくちゃ、と思います!)
4)事前準備をすること
仮説や知りたいことをあらかじめ持った上でカンファレンスにのぞむのはとても重要です。
「この人はこんなことを話すんじゃないか」「このバックグラウンドだったら、こんなジレンマがあったんじゃないか」そういった確認ポイントを持っているだけで理解度は全く違ってくるはずです。
しかも、Keynoteにでてくるような著名スピーカーであれば、多くの場合YoutubeやVimeoに動画が上がっていて、事前に英語の癖まで分かります。英語が理由で良く理解できなかったと言うのは、そこまで事前準備をしてからにしたいものです。
とはいえ、直前まで仕事でバタバタしていてそんな時間とれないというのはよくあること。よくわかります、実際、私もそうでした。そんなときにはクラウドソーシングでバーチャルアシスタントを雇いリサーチしてもらう手もあります。
私は今回、oDeskでインド人リサーチャーを雇って事前準備をしてもらいました。私が契約したのは$8/時間のリサーチャーでしたが、時給$2から$15くらいの価格で手となり足となってくれる人たちが世界にいるのですから、積極的に活用するべきです。
おまけ:ROIを高めるために、今回私が使ったサービス
AirBnB:安く泊まりコスト削減
宿泊先のオンライン・マーケットプレイス。自分の家の空き部屋を貸し有効活用したいオーナーと旅先の滞在を探している利用者をマッチングするサービスです。マンハッタンのホテルともなると1泊2万円ほどするところ、今回のAirBnBは1泊¥8,600でした。(マンハッタンまでたった2駅のロケーションです。)しかも、オーナーとも仲良くなれて一石二鳥、楽しい滞在となりました。
oDesk:事前リサーチでラーニング最大化
450万人ものフリーランサーからなるクラウドソーシングサイト。事務的な仕事から、デザインなどのクリエイティブな仕事まで、ありとあらゆる分野の仕事を請け負ってくれます。私が主に利用するのはリサーチ目的。個人的に興味のあるトピックやカンファレンスの事前準備など、自分の寝ている間にも誰かが(安く)進めていてくれるという嬉しいサービスです。クラウドソーシングは、個人が組織としての労働力を抱えることを可能にしたという意味で、これからの時代を大きく変えていくでしょう。
まとめ
どうでしょうか。やはり、日本人はまだまだ海外カンファレンスの場において、シャイで損をしてしまう傾向にあると思います。グローバルな環境で負けないためには、スピーカーに食らいついて行く積極性や、効率化に役立つクラウドソーシングなど新しいサービスの積極的な利用が鍵になります。
私もまだまだ完璧にはこれらをこなせているわけではありませんが、今回トライしたことの中で、学びを最大化するのにプラスだったと実感したことをご紹介しました。上記の4点が、海外カンファレンスで日本人が一目おかれるようになるのに少しでも役立てばと願っています。
Adtech Photo: taken by Teruhiko Miura & Adtech NY
AirBnB Photo: From AirBnB
oDesk Photo: From glassdoor